ADVATEK テクニカルガイド 【Vol.1 LEDピクセルチップの選び方】
ADVATEK テクニカルガイドVol.1
裏方屋ドットコムが正規代理店を務める ADVATEK。
同社の公式ブログでは、ピクセル制御に関する技術記事が多数公開されています。これらの記事は、現場で役立つ知識が詰まった良質なコンテンツばかり。
そこで裏方屋では、ADVATEK テクニカルガイドブログの中から特に有用な記事を順次翻訳して、日本のユーザーの皆さまにお届けしていきます。
第1回となる本記事のテーマは「LEDピクセルチップの選び方」です。
それでは早速、本編をどうぞ!
LEDピクセルチップの選び方
▼LEDディスプレイに最適なピクセルとは?
LEDピクセル照明ディスプレイに適したピクセルチップを選ぼうとすると、その種類の多さがかえって混乱を招くことがあります。LED器具にはそれぞれ特性の違いがあるため、LEDピクセル照明のニーズに最適な選択肢は、個別の用途によって変わってきます。
ピクセルの種類は実に多種多様で、ADVATEK では現在90種類以上のICチップに対応しており、チームでは新たなチップへの対応を継続的に追加しています。対応チップの一覧は Supported Pixel Protocols をご覧ください。
本記事では、特性の異なる以下の3つのチップに絞って解説します。
- WS2812B
- SK6813
- MY9231
ADVATEK は、ほとんどのアドレッサブルLED照明に対応しています。
▼WS2812B
この一体型光源は、通常さまざまな発色バリエーションがあり、ドライバが 5050 サイズ(5mm × 5mm)のRGB LEDパッケージ内に内蔵されています。
このピクセルタイプは Data-Only(データ線のみで制御する方式)で、シンプルな設計が人気の理由です。非常にコンパクトなサイズを実現しており、フレキシブルPCBストリップへの実装も容易です。
WS2812B は 400Hz の PWM(パルス幅変調)周波数 で動作します。
この周波数は人間の目には残像効果によって連続した光として認識されますが、カメラで撮影するとうまく映りません。24fpsのカメラで撮影する場合、被写体となるピクセルのPWMレートは最低でも720Hz程度必要となるため、このピクセルタイプはカメラ撮影には適しません。
◆ WS2812B のリフレッシュレート(映像の滑らかさを決める更新頻度)
リフレッシュレートは、ピクセル制御システムのさまざまな要素によって左右されます。
その要素のひとつが、ピクセルが Data-Only か Clocked(クロック線で同期する方式)かという点です。
Clocked タイプのピクセルは、より高速で調整可能なデータ伝送を可能にし、これが全体のリフレッシュレートに影響します。
WS2812B は Data-Only 方式のため、Clocked のような高速データ伝送によるメリットは得られません。これが問題になるかどうかは、用途次第です。
動きの速いダイナミックな演出を行うディスプレイで、なおかつ多数のピクセルを直列に接続する必要がある場合、このピクセルタイプでは全体のリフレッシュレートが低くなる可能性があります。
それでも WS2812B は、シンプルな設計と幅広い用途への対応力から、特にピクセル数が少ないシステムにおいて最も人気のあるLEDドライバのひとつです。世界中で広く製造されており、入手性も良好です。
低予算でシンプルな構成を求めるなら、これが最適なシステムです。
▼SK6813
このチップは、先ほど紹介した WS2812B よりも多機能で、より高品質なピクセルを実現します。サイズは WS2812B と同じため、PCBストリップに適したピクセルタイプですが、1チップあたりのピン数が4本ではなく6本になっています。追加された2本は、それぞれデータ線のバックアップ用と、LEDをより高い電圧で駆動するためのものです。
ADVATEK では、この SK6813 を採用した BlazeシリーズのLED器具 を、LEDの配置密度が異なる2種類で展開しています。
◆ データの冗長化(バックアップ機能)
このピクセルタイプの主な特徴のひとつが、バックアップデータ線です。
LEDストリップを PixLite controller に接続する際、使用するデータ線は1本だけですが、最初のピクセルが2本目のデータ線をバックアップとして同じ内容で生成します。これにより、もしピクセルに不具合が起きたり、最初のピクセル以降のどこかでデータ線が断線したりした場合でも、バックアップデータ線を経由して同じデータを受信できます。
2つ目のピクセルが故障した場合でも、バックアップデータ線がその役割を果たし続けます。
実際のところ、隣接する2つのピクセルが同時に故障しない限り、データ線の断線によってストリップ全体が動作不能になることはまず起こりません。
◆ SK6813 のその他の機能
SK6813 は 5V ではなく 12V で動作し、内部で電圧を降圧する仕組みになっています。各LEDの動作温度はやや高くなりますが、その代わりに途中での電源供給を必要とせずに、より長いピクセルの直列接続が可能になります。
また、SK6813 は WS2812B よりも高いPWMレートを実現しています。PWMレートは 400Hz から 1200Hz に向上しており、40fps以下のカメラでの撮影に対応できます。ただし、リフレッシュレートは Clocked タイプのピクセルチップと比べるとまだかなり低いため、すべての用途に適しているわけではありません。
照明システムにデータの冗長化と標準的な映像品質を求めるなら、SK6813 が最適な選択肢です。
▼MY9231
16ビットカラー解像度と高速なPWMレートを実現したハイエンドなチップです。Clocked 方式のため、データ線に加えてクロック線をピクセル出力に接続する必要があります。
さらにこのピクセルタイプは、物理的なチップサイズが大きいために、LEDストリングに沿ってモールドケース(樹脂製の保護カプセル)の中に実装されることが多いという特徴があります。
◆ MY9231 の主な機能
クロック線があることで、pixel controller からLEDへのデータ転送速度が向上します。他の要因で制限されていない限り、クロック線の存在によって全体のリフレッシュレートを引き上げることができます。 さらに、クロック周波数は設定時に変更可能で、より柔軟な調整ができます。具体的には、クロック周波数を上げればリフレッシュレートが高くなり(動きの速いダイナミックな照明システムに最適)、下げればコントローラーから最初のピクセルまでのケーブル距離をやや長く取れるようになります。
このチップは LED の明るさを16ビットデータで制御するため、ガンマ補正カーブを適用したときに、より精密な色の混色と正確な明るさレベルを実現できます。PixLite controller では、この機能を活かすために MY9231 チップを16ビットモードで動作させ、最適な結果を得るために色ごとに調整可能なガンマ値スライダーを提供しています。16ビット解像度の場合、MY9231 のPWMレートは 2kHz となり、66fps 未満で動作するカメラに最適です。
これにより、このピクセルタイプは高品質なカメラを使った収録・撮影にも完璧に対応できます。
高い色解像度と高いリフレッシュレートが必要なら、MY9231 こそが最適な選択肢です。
▼最後に
いかがでしたか?
LEDピクセル制御の世界には「これが最強」という単一の答えはなく、プロジェクトの規模、予算、求める表現、撮影の有無など、様々な条件によって最適なチップは変わります。だからこそ、選ぶ前に「自分の現場では何が必要か」を整理することが大切です。
裏方屋ドットコムでは、本記事で紹介した3種類のチップに対応した PixLite シリーズの pixel controller を取り扱っています。
「自分のプロジェクトにはどれが合うのか分からない」という方も、お気軽にご相談ください。
本記事は、Advatek社の記事を許可を得て翻訳・掲載したものです。
(原文:Choosing the Right Pixel Protocol )
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