ADVATEK テクニカルガイド 【Vol.4 Art-Net vs sACN】
ADVATEK テクニカルガイドVol.4
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第4回となる本記事のテーマは「Art-Net vs sACN」です。
それでは早速、本編をどうぞ!
Art-Net vs sACN
▼Art-Net と sACN、どちらを使うべきか?
Art-Net と sACN はどちらも目にしたことがあるでしょうし、実際に使ったことがあるかもしれません。しかし、その違いについて考えたことはあるでしょうか?
実はこの2つは、同じ目的を異なる方法で実現するためのものです。
その目的とは、照明コンソールやソフトウェアからのDMXデータをpixel controllerへ届けることです。
Advatekのすべての PixLite controller は、両方のEthernetプロトコルに対応しており、それぞれが持つ独自のメリットを活用できます。
本記事では、それぞれのプロトコルを理解し、ご自身のアプリケーションにどちらを選ぶべきかを判断するための情報をお届けします。
▼Broadcast、Unicast、Multicast
これらのプロトコルのメリットに踏み込む前に、まずデータの伝送方法を理解する必要があります。
ネットワークデータの配信方法には、Broadcast、Unicast、Multicast の3種類があります。
下の図には3台のpixel controllerが描かれており、AとBは送信ソフトから同じuniverseのデータを受け取る必要がありますが、Cにデータを送る必要はありません。
この設定を踏まえて、3つの配信方式を見ていきましょう。
Broadcast は、送信ソフトがDMX universeのデータをネットワークに送信し、ネットワークがそれを3台すべてのpixel controllerに配信する「1対全」の方式です。
どのデバイスもデータから除外されないことが保証される一方で、デバイスが不要なトラフィックを受信することになりやすく、特にuniverse数が多い場合にその傾向が顕著になります。
Unicast は、各pixel controllerの固有のIPアドレスを使って、それぞれに特定のデータを届ける「1対1」の方式です。
送信ソフトはuniverseのデータを pixel controller A のIPアドレス宛に送信し、続いてBのIPアドレス宛にも同様に送信します。各デバイスのIPアドレスを把握していることが前提となり、これによってデバイスは送信ソフトが意図したデータだけを受信できます。
この方式では pixel controller C が不要なデータを受信することは避けられますが、同じuniverseのデータが2回送信されることになり、ネットワーク全体のトラフィックは増加します。
Multicast は、ネットワークトラフィックと不要な受信データの両方を削減する「1対多」の方式です。
送信ソフトはuniverseのデータを1度だけ送信し、pixel controllerは必要なuniverseのデータを受信するようネットワークに要求します。Pixel controller AとBはネットワークに受信要求を出すため、データはこの2台には届きますが、デバイスCには届きません。
この方式は IGMP snooping によって実現されます。
Art-Net は Broadcast と Unicast 向けに設計されています。
sACN は Unicast と Multicast 向けに設計されています。
▼ネットワークトラフィックの削減
ネットワークトラフィックは、universeのデータが必要以上に送信されると増加します。
Broadcast と Multicast では、各universeのデータは1度だけ送信されます。
Unicast では、そのuniverseを必要とする pixel controller の数だけ、同じデータが繰り返し送信されます。
2台のコントローラーが同じuniverseを必要とする場合、そのデータはIPアドレスごとに1回ずつ、合計2回送信されることになります。ただし、多くのピクセル制御の用途では、各 PixLite controller にそもそも固有のIPアドレスを割り当てる必要がある点には留意が必要です。
そのため、universeのデータを1度だけ送信して Multicast で複数の宛先に届けるというメリットが、必ずしも活かせるとは限りません。
Art-Net では、同じデータの重複送信が多すぎると検知された場合、universeのデータを Broadcast に切り替えることがあります。この挙動にはデメリットがあり、それについては次のセクションで解説します。
ネットワークトラフィックを重視する場合は、sACN による Multicast がアプリケーションに最適な選択肢となるかもしれません。
▼不要な受信データの削減
Art-Net が開発された当初は、扱うデータ量が少なかったため、Broadcast でも問題はありませんでした。しかし現代の照明演出では、数百のuniverseが必要になることもあります。
これらすべてのデータを Broadcast で送信すると、デバイスが膨大なデータ量を処理しきれず、パケットの欠落につながる可能性があります。これを避けるためには、Broadcast を使わないようにする必要があります。
Unicast を用いればそれは実現できますが、Art-Net では同じuniverseのデータの重複送信が多すぎると検知された場合、Broadcast に切り替わってしまうことがあります。
一方の sACN は、大規模なピクセルシステムのために専用に設計されたプロトコルです。
そのため、データの Broadcast 送信は禁止されています。sACN で実質的に Broadcast 状態が発生しうる唯一のケースは、ネットワーク設計が適切でない場合です。これについては次のセクションで解説します。
ネットワーク機器が不要な受信データで溢れかえる事態を確実に避けたい場合、sACN による Multicast がその答えになるかもしれません。
▼セットアップの簡略化
ネットワークに詳しくなくても照明演出はできますが、基本知識があるとセットアップが楽になります。これから始める方には、Art-Net によるアプローチが適しているかもしれません。Art-Net はほとんどのネットワーク機器と互換性があり、IPアドレスの管理以上の複雑な設定は基本的に必要ないためです。
一方 sACN は、多くのメリットを提供する反面、ネットワーク設計に関する知識がある程度求められます。
Multicast を正しく機能させるには、適切な機器の選定と設定が必要です。
IGMP snooping がサポートされていなかったり、適切に設定されていなかったりすると、Multicast のデータが実質的に Broadcast 状態で流れてしまったり、まったく届かないという事態にもなりかねません。
▼セットアップ時間の短縮
Art-Net 4 のリリース以降、セットアップ時間は大幅に短縮され、ネットワーク上の pixel controller を適切に自動検出できるようになりました。
以前のバージョンでも一定の検出機能はありましたが、第4世代では多数のuniverseを持つデバイス(PixLite controller など)を、送信ソフト側で正しく検出できるようになっています。
これにより、Art-Net による Unicast では、すべてのIPアドレスが自動で検出されるため、セットアップを素早く完了できます。
sACN は Multicast 用に設計されたプロトコルであり、pixel controller 側から必要なuniverseのデータを受信要求できる仕組みになっています。
これは、送信ソフトをセットアップする際に、どのIPアドレスがどのコントローラーのものかを意識する必要がないことを意味します。
以前のバージョンの Art-Net では sACN の高速なセットアップ時間にはかないませんでしたが、Art-Net 4 の登場により、現在では両プロトコルともに優れたセットアップ時間を実現しています。
▼接続の安定化
照明演出の本番中は、接続が安定し続けることが極めて重要です。
見落とされがちな接続要素のひとつが、pixel controller のIPアドレスです。このアドレスが変わってしまった場合でも、動作を維持できる必要があります。
Art-Net による Unicast では、すべてのデバイスのIPアドレスが安定していることが前提となります。Art-Net デバイスがIPアドレスを失った場合、送信ソフト側で再検出を行わなければ動作を再開できません。
このため、Art-Net 環境では一般的に固定IPアドレスを用いた構成が採用されます。
sACN による Multicast は、pixel controller のIPアドレスに依存せずに動作します。
仮にコントローラーのIPアドレスに変化が起きても(例:DHCPサーバーによって変更された場合など)、Multicast のトラフィックは人の手を介することなくシームレスに受信され続けます。
この特性が自身のネットワークにとってメリットになるかどうかは、アプリケーション次第です。
▼最後に
Art-Net と sACN を選ぶ際にもうひとつ考慮すべき要素は、お使いの照明ソフトと pixel controller がこれらのプロトコルに対応しているかどうかです。
幸いなことに、すべての PixLite pixel controller は両方のプロトコルに対応しているため、選択は照明ソフト側の対応状況だけで決まることもあります。
お使いの照明ソフトが両方に対応していて、それでもどちらを選ぶか迷う場合は、裏方屋までお気軽にお問い合わせください。
お客様に最適なソリューションをご提案いたします。
本記事は、Advatek社の記事を許可を得て翻訳・掲載したものです。
(原文:Art-Net vs sACN )
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