卓を買う順番 ~初めての調光卓選び~

卓を買う順番 ~初めての調光卓選び~
この記事は

  • 初めて調光卓を買おうと思っている人
  • 使い慣れたメーカー以外のメーカーの卓を使い始めたい人

に最適です!

人気のChamsysとAvolitesの機材で具体的にご紹介していきたいと思います。

最初に:周囲をリサーチしよう

自分の身近な人が何を使っているかのリサーチはとても重要です。

  • 卓がトラブった時
  • やりたい事をどうしたら実現できるのかに詰まった時

技術的な事やノウハウを聞くことができる人が近くにいる事はとても重要です。
卓のトラブルは、灯体のトラブルよりも誰かと話さないと解決しない事が多いです。
しかも、トラブルを起こしている個体を交換して完了、というわけにいきません。

【POINT】何かがあった時に気軽に聞ける人が近くにいるか

機能面はちょっと置いておいて、まずはそのことを重視してリサーチしましょう。

エントリーとしてのドングル

調光卓は皆さまご存知の通り、メーカーごとに特色があります。
そのメーカーが本当に自分の使い方や自分の現場にあっているのかを確認するには、まずドングル(安価なもの)から始めるのがオススメです。

ドングルとはPCにUSBもしくはネットワークポートに挿し、機材制御信号(DMX, sACN, Artnetなど)を出せる小さな機器です。

ドングルは、とにかく安価です。
各メーカーが「自分たちのシステムを試してもらう」ために製造しています。

安価なドングルでも高価な本卓でも、基本的にほとんどのメーカーが使用するソフトは同じです。
なので、ドングルでも十分そのメーカーの使用感や設計思想を感じることができます。
そのメーカーが自分に合っているかどうか、まずはドングルでシステムに触れて相性と感触を確かめましょう。


ChamSys 機材紹介

どちらも性能的にはまったく同じです。
違いは2つ。

時間制限バージョンは...

  1. ハード面では、3pinXLR
  2. ソフト面では、5時間経過したらセッションが切れます

なぜ切れるの?と思われる方:
理由は、価格がものすごく安いから。つまりこれは、本番で使う用ではなく、お試し用としてメーカーが用意してくれている、超超エントリー商品だからです。


Avolites 機材紹介

T1とT2は少し性能が違います。

T2は2ユニバース出すことができる&タイムコードの入力が可能です。
しかもT2はAvolites T3 Wingも併用できるので、ちょっとした現場にも使えたりします。
ちょっと余談:MIDI卓って何?

ドングルを使う場合は、実際にコントロールするための物理的なフェーダーやボタンは存在しません。PC上で仮想フェーダーや仮想エンコーダーをキーボードとマウスで動かすことになります。だけど、ムービングライトはマウスだと操作しにくい!

そこでよく使われるのが、MIDI卓です。
MIDI卓のフェーダーソフト上のフェーダーに割り振ることで物理フェーダーで操作することが可能になります。

【注意】メーカーによってMIDI対応しているもの、していないものがあります。
MIDI卓は照明メーカーが公に承認しているものではありません。ソフトウェアのアップデートで突然使えなくなった、なんて話も耳にしたことがありますので、ユーザーさんご自身での十分なリサーチをお勧めいたします。

ネクストステップはPC卓

フェーダーとかボタンはあるけど、中にPCは入ってない、CPUやメモリーを積んでいないのが、いわゆる「PC卓」です。
つまり、単体では信号が出ません。自分のコンピューターとつないで初めて使えます。

ドングルからPC卓への移行を真剣に検討する時には、もうかなりそのメーカーなり機種なりにコミットしている状態だと思います。
それなら、実際に物理ボタンやフェーダーで操作したいですよね。実際にオペレートする時の操作感が、ドングルとは格段に違います。

本卓との大きな違いは、内蔵スクリーンの有無。
PCのマザーボードとCPUを使っているので、PC卓からスクリーンに何かを映し出すことはできません。

ChamSys 機材紹介
フェーダーと再生ボタンのみのミニマムな構成。プログラミングする時にはつないだPCのキーボードでカチャカチャしないといけません。
こちらはフェーダーだけではなくてエンコーダーもついたもの。
キーコマンドがついていたり、プレイバック機能がついていたり、本卓と遜色ない機能を持っています。

Avolites 機材紹介

USBでPCにつないでプログラムを受け取って、DMXなどの照明制御の信号を出せます。

フェーダーもエンコーダーもあって、キーコマンドもプレイバックフェーダーもあるし、バックボタンもある。ものすごく色々な機能を瞬発的に直感的にいじれるので人気の機材です。
なによりものすごくコンパクト!

ちょっと余談:PCスペック

ドングルの場合もですが、お使いのPCがスペック要件を満たしているかはとても重要です。

購入する際にはメーカーが推奨している

  • 対応OS
  • CPU(プロセッサー)
  • RAM(メモリ)
を自分のPCが満たしているかを、必ずチェックするようにしましょう。

また、Windowsをお使いの方はファイアウォールによって通信が阻害されることがとてもよくあります。
PCとドングルとMIDI卓を繋いで…という状態だと、どこかのケーブルが断線しているのか、ファイアウォールが悪さしているのか、それとも別の何かなのか、要因を突き止めるのが本当に大変です。
使用時には、インターネットに接続していないスタンドアローンの状態にしてファイアウォールを切る等の対策を必ずしましょう。

そして本卓へ…

PC卓と本卓の一番の違いは、中身にCPUやメモリ、プレイバックや制御のためのOSが入っていて、PCと接続しなくても、これだけで信号が出力できるということです。
外観の話をすると、スクリーンがあって、フェーダーやキーコマンドがあり、操作性が作りこまれています。もちろん様々な出力基盤も備えています。

本卓のグレードも色々あります。高価で大きければ良いかというと、そういうものではないので

  • スクリーンのサイズ
  • フェーダーの本数
  • 内蔵CPUやメモリ
を検討して、ご自身にあったものを探していきましょう。

裏方屋オススメの人気の本卓は下記の通りです。

ChamSys 機材紹介

MagicQ MQ50と形、格好も似ていますが、バックライトが付いているのがMQ70です。
暗闇の中で明かり作りをされる方がほとんどだと思いますので、キーとフェーダーにバックライトの付いているMQ70を裏方屋は推奨しています。

Chamsysは近年、機能面でも他の有名メーカーに劣らず、しかも価格面ではかなりお得感があるコントローラーで、国内でのユーザーも増えていっています。

Avolites 機材紹介

Avolitesの代表的な卓の1つのQuartzの後継機です。

Quartzは国内でかなり流通している卓の1つです。
大きな内蔵タッチスクリーンで、直感的にプログラミングやプレイバックが可能です。
フェーダーも10本あり、この小型サイズにしてはかなり優秀な卓です。

PC卓の段階って必要?

「ドングルを使ってみてピンときたら、一気に本卓を買っちゃいけないの?」
「最終的に本卓を買ったらPC卓はいらなくならない?」

と思われるかもしれません。一足飛びにドングルから本卓を買うのも、もちろん、アリです。

でも、PC卓は、持っておくと本卓とはまた別の使い道が絶対にあります。

PC卓の良いところは、小さくて軽いこと。
だから

  • 自宅とか小さいオフィスとかでも気軽に作業ができます。
  • ツアーのように毎日現場の場所が変わる時にもPC卓なら気軽に持ち運ぶことができます

そんなにたくさんの明かりが必要ないような小規模な現場に本卓を持っていく、なんて、オーバースペックな上に重たくてかさばって大変ですよね。
PC卓は取り回しがきくんです。
さらに、これは重要な事なのですが、本卓が故障した場合の予備卓としても使えます。

PC卓は決して無駄になりません。
本卓を持つような頃には、むしろ必要な存在になるのではないかと思います。

いつステップアップしたらいいの?

大きな現場、例えばアリーナとか、3000人規模のホールでは本卓を使うのが最適でしょう。

小劇場や市民ホールなどでは、本卓を持ち込むとむしろかさばってしまって邪魔なのでPC卓やドングルが最適ということも多いです。

規模が小さくても、ライブなどのスピーディーで突発的な動きを求められる現場の場合には、ドングルを使ってマウスやキーボードでオペレーションするのはおそらく困難です。その場合には物理的なフェーダーやエンコーダーがある卓にしたほうが良いでしょう。

他にも、自分がプランナーでオペレーターは別の方がやるという状況になったら、ドングルやPCだと自分の私物を他人に渡さないといけなくなるので、本卓を使ったほうが良いでしょうね。

今回のまとめ

卓を買う順番は
周囲の人をリサーチ → ドングル → PC卓 → 本卓
がオススメ!

どうステップアップするかは
規模 × 現場の種類 × 予算
で決まる!

お問合せ・ご相談 悩んだ時や迷った時は、どうぞお気軽にご相談ください!