ドバイの超大規模音楽フェスの現場から

ドバイの超大規模音楽フェスの現場から

裏方屋ドットコムが正規代理店を務める ADVATEK。数多のプロの現場で選ばれ続けるピクセルコントローラー「PixLite」シリーズを手がける、オーストラリアのメーカーです。

その ADVATEK より、今回ピクセル制御について基礎から実際の活用事例までをわかりやすくまとめた解説資料を提供してもらいましたので、裏方屋ではこの資料をもとに日本のユーザーの皆さま向けの記事をお届けすることにしました。

前回は「知っておきたい、ピクセル制御の仕組み」をテーマに、その基礎をご紹介しました。それに続く今回は、ピクセル制御が実際の現場でどのように使われているのか、その実例をご覧いただきます。

舞台となるのは、サウジアラビアで開催される世界最大級の音楽フェス「Sound Storm」。その巨大なステージを、ADVATEK のピクセル制御がどう支えたのか。さっそく見ていきましょう。

ドバイの超大規模音楽フェスの現場から
〜Advatekが実現させた、驚異的な演出技術!〜

とんでもない現場の話

「Sound Storm(サウンドストーム)」とは、なんぞや?とお思いの方もいるかもしれません。

Sound Stormは、サウジアラビアの首都リヤドの郊外にあるBanban(バンバン)で毎年12月に開催されている、中東最大級の音楽フェスティバルです。

Sound Storm(サウンドストーム)

同国のエンターテインメント企業 MDLBEASTが主催し、初開催の2019年から約40万人もの来場者を集めて注目を浴び、わずか数年で世界有数規模のフェスへと駆け上がりました。
今回ご紹介する2024年は、12月12日から14日までの3日間開催され、来場者数はおよそ45万人。会場の総面積は120万平方メートルを超え、その中に10のステージが設置されました。

ちなみに日本最大級のフェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」は5日間開催で約30万人、「FUJI ROCK FESTIVAL」は4日間で約12万人ですから、その集客規模は推して知るべし、ですね。

出演アーティストは200組以上、ライブの総時間は250時間超え!
その顔ぶれも豪華で、Eminem、Linkin Park、Muse といった、日本でもおなじみの世界的アーティストがヘッドライナーを務め、世界中から音楽ファンが砂漠の会場に押し寄せました。さらに、1,600機のドローンによる空中ショーや、総量1,650kgの火薬を用いた演出など、なにもかもが桁外れのスケールです。

そして、この祭典の象徴となったのが、メインステージ「Big Beast(ビッグビースト)」です。

このステージに設置された巨大なLEDスクリーンは「最大の連続屋外LEDスクリーン(仮設)」として、ギネス世界記録に認定されました。その面積は、およそ4,800平方メートル。ステージ制作を手がけた会社によれば 、スクリーンは高さ34.6メートル、幅165メートルにおよびます。
その高さは10階建てのビルに匹敵し、幅はジャンボジェット機2.5機分に相当するという、超大型のLEDスクリーンです。(例えても大きすぎてよくわからない、超巨大なスクリーンということです)

これほど大規模なイベントで、実は ADVATEK のピクセル制御が活躍していました。

︎25万個以上のピクセルを制御!コントローラーだけで250台!

ADVATEK のピクセル制御が担っていたのは、この巨大なステージの上に浮かんでいる【無数の四角いフレームが立体的に積み重なって構成された象徴的な構造体】、このオブジェそのものを光らせることでした。

オブジェに組まれた一本一本のフレームに、LEDのラインが仕込まれています。 その光が音楽に合わせて流れたり脈打ったりすることで、それそのものが照明として機能していました。

構成は、

  • 使用したピクセルLEDの総延長:2,750メートル(1メートルあたり96個のLED)
  • LEDピクセルの総数:25万個以上
  • 投入された ADVATEK のコントローラー「PixLite A4-S」:250台以上

と、これまた桁違いのスケール。

総延長2,750メートルを無理やり例えてみると、東京ドームの外周をおよそ5周できてしまう長さです。そのすべてに、1メートルあたり96個のLEDがびっしりと並び、合計25万個を超える光の粒が、250台を超えるPixLite A4-Sによって個別に制御されていました。

これほどの規模を破綻なく動かすことは、簡単ではありません。実際この現場には、この規模ならではの難しさがあったそうです。


ここからは ADVATEK の公式資料から、原文の"熱のこもった"解説を読みやすく再構成してご紹介していきます。

世界最大級の舞台で待っていた難題


最難関:25万個以上のピクセルの同期を実現したシステム

Big Beast では、構造体を彩るピクセルのすべてが、ステージ背後の巨大なLEDスクリーンと整合するように、緻密にマッピングされていました。スクリーンに映る映像と、構造体のピクセルが、一つの絵としてつながって見える。だからこそ、もし映像とピクセルの足並みがほんの少しでもずれれば、その一体感はたちまち損なわれてしまいます。

しかも、扱う情報量は膨大です。 映像は4K・60FPSという高精細・高フレームレート。ピクセルの総数25万個以上。このすべてを、メディアサーバーから送られる映像と同期させなければなりません。

実際にこのシステムを手がけた技術担当者も、ここが最大の山場だったと振り返ります。

「ピクセルと映像システムの完璧なフレーム同期こそが鍵でした。このシステムには、4K・60FPSの映像を取り込みながら、ネットワーク上に分散した25万を超えるLEDピクセルを、メディアサーバーと同期させることが求められたのです」

一台のディスプレイの中で映像を完結させるのとはわけが違います。離れた場所に置かれた250台以上のコントローラーと、25万を超えるピクセルが、まるで一枚の画面であるかのように、同じ瞬間に同じ絵を描く。それを実現することが、この現場に課せられた最大の課題でした。

これを解決したのが、ADVATEK の PixLite A4-S を中核に据えたシステム構成でした。

データは、おおまかに次のように流れていきます。

  1. 照明卓やメディアサーバーから、映像と制御データを送信。
  2. データはネットワークを通じて、250台以上の PixLite A4-S へと分配。
  3. 各 A4-S は受け取ったデータをピクセルが理解できる信号へと翻訳し、LEDストリップへと送信。
  4. ストリップ上の一つひとつのピクセルが、受け取った信号どおりに発光する。

簡単に説明するとこういうことですが、最大のポイントは、この一連の流れがネットワーク上で寸分の狂いなく足並みをそろえて行われた、という点です。

250台のコントローラーは、それぞれが勝手なタイミングで動くのではなく、メディアサーバーから届く映像と歩調を合わせ、同じ瞬間に、担当するピクセルを発光させます。これによって、物理的にはバラバラに置かれた25万を超えるピクセルが、まるで一枚の大きな画面のように、ピタリとそろって動くことができたのです。

こうして最大の課題だった「映像とピクセルの完全な同期」は、ADVATEK の PixLite A4-S によって見事に実現されました。

コントロールするだけじゃない!遠隔での診断

そして、なんとこのシステム構成は、最大の課題だった同期を実現しただけではなく、現場のさまざまな場面でも頼もしい力を発揮したのです。

今回の現場は、限られた設営期間で、これだけ大規模なシステムを組み上げなければなりませんでした。しかも、LEDが仕込まれた構造体は、地上25メートルの高所にもおよびます。設置中の損傷や、屋外ならではの金属の伸縮で、LEDストリップにトラブルが起きることもあります。

そんな状況でも、設営を担当した技術者には、頼れる味方がありました。それが、PixLite Aシリーズに搭載されていた機能です。

「A4-S に内蔵された eFusing(電子ヒューズ)と、Gigabit Network Loop-Through(コントローラーをデイジーチェーン接続できる機能)は、タイトなスケジュールの中で間に合わせるために欠かせませんでした。
ピクセルストリップに何かしらの異常が起きたとしても、25メートルの高さまで登ってヒューズを手で交換する代わりに、Advatek Assistant(管理用ソフト)で遠隔から問題を診断できたのです。
おかげで、膨大な時間を節約できました。」

高所のヒューズを手作業で一つずつ交換していたら、どれほどの時間がかかったか分かりません。
それを地上から遠隔で診断できる。限られた時間で動く現場にとって、この差は計り知れません。

250台のコントローラーを一括管理

さらに、250台を超えるコントローラーの管理でも、ADVATEKの技術が活かされました。
これだけの台数を、一台ずつ設定していたのでは日が暮れてしまいます。この問題を解決したのが、専用ソフト「Advatek Assistant 3」でした。
システムを担当したプログラマーは、その威力をこう語っています。

「Advatek Assistant 3 は、まさに革命的でした。設置したシステム全体を、一台ずつではなく、ひとまとまりとして構成できたのです。ネットワーク上に250台を超えるデバイスがあっても、検出し、名前をつけ、設定を変え、電子ヒューズの状態を確認する。それらをすべて一つの場所で行えたことが、効率を大きく高めてくれました」

250台を、一つの画面から、思いのままに。
台数が増えれば増えるほど、この一括管理の恩恵は大きくなっていきます。本来であれば気の遠くなるような作業も、ここではほんの数クリックで完結する。
規模の大きさが、そのまま手間の大きさになってしまう。その常識を、ADVATEK は鮮やかに覆したのです。

頑強なシステム

同期、設営、管理。ここまで見てきた一つひとつの強みは、最終的に、たった一つのシンプルな結果へとつながりました。
プロジェクト全体を統括した責任者の言葉が、それを物語ります。

「ドライバーは、その一つひとつが期待どおりに動作しました。250台を超える Advatek A4-S を投入して、なんと故障はゼロだったのです」

250台すべてが、本番を通して一台も欠けることなく動き続けた。これだけの数の機器を扱えば、トラブルの一つや二つは起きてもおかしくありません。それが、ゼロ。どれほど多機能でも、どれほど効率的でも、現場が最後に求めるのは「確実に動き続けること」です。その一点で、ADVATEK は完璧に応えてみせました。

最後に

ADVATEKのまとめた資料の熱量をそのまま日本語に翻訳してお届けしました。

いかがでしたか?

改めて驚いたのが、数本のLEDテープを扱う現場でも、25万のピクセルが連なる大舞台でも、使っているものが変わらないということです。規模が変わっても、同じ製品で対応できる懐の広さが、 PixLite シリーズの強みなのだろうと思います。

裏方屋ドットコムでは、今回ご紹介した ADVATEK製 PixLite シリーズを各種取り扱っています。

「まずは何が必要なのか分からない」という方も、お気軽に裏方屋までご相談ください。

本記事は、Advatek社の記事を許可を得て翻訳・掲載したものです。
(原文:Advatek x LED Creative 
※記事内の画像および文章の無断転載・複製を一切禁止します。

最新の特集 LEDをピクセル制御するなら
ドバイの超大規模音楽フェスの現場から
ドバイの超大規模音楽フェスの現場から
Advatek Lighting Pty Ltd

Advatek Lighting Pty Ltd(オーストラリア・メルボルン拠点)は、2012年の創業以来、最先端のLEDピクセルコントローラを設計・製造し、イベント、コンサート、アーキテクチャ・テーマパーク・映像制作等の世界的なプロジェクトを支えてきたメーカーです。品質・信頼性・サービスを妥協せず、グローバル展開しています。

裏方屋はAdvatek国内販売並びサポートパートナーとして2025年から代理店活動をしています。