2021 LDIレポート in Las Vegas(前編)

公益社団法人日本照明家協会の協会誌に掲載されました「海外情報 2021 LDIレポート in Las Vegas(前編)」をご紹介します。

   

日本照明家協会誌 2022年3月号 No.614

2021 LDIレポート in Las Vegas(前編)

2021年11月の米国エンタメ業界は、コロナに対する恐怖心より、コロナからの立て直しを勢いに任せて無理矢理にでも進めようという雰囲気でした。

そんな中で開催されたLDI 2021 in Las Vegas。

前の日(セットアップ)

展示会場一般公開前日に到着し、まずは会場の雰囲気を偵察。

会場の雰囲気をみて回ります。知り合いのいるブースにも立ち寄り、2 年ぶりの再会の挨拶と世間話に花を咲かせます。

通常であれば、展示会の前日は怒鳴り声も聞こえるような騒然とした展示会のセットアップですが、今回は結構静かで簡易的なセットアップも多かったです。

   

   

 出展者も例年の半分以下くらいの規模。一般公開前日の午後の時点でほぼほぼセットアップは終わっているように感じました。もちろん全然進んでいなくて焦っているような業者さんもちらほら見受けましたが...

   

ラスベガスといえば、ショーとギャンブルの世界です。

WSOP・世界ポーカー選手権がLDI と同時に行われていました。このような大掛かりなイベントがコロナ前以上の規模と数で2021年の春先から現在(2021/ 冬)にかけて行われています。

LDI スポンサーを通しての業界部門の状況

LDI のような展示会にはスポンサーが付き物です。例年はメーカーの名前が連なりますが、今年はそれに代わってプロダクション会社の名前が多く挙げられていることが印象に残りました。

   

コロナ収束の雰囲気で中止になっていたイベント、コンサート、フェスティバルが2021年の春先から夏頃にかけて、一気に再開されました。それにより、機材のレンタル会社に多大な発注が入り、大きなキャッシュフローが生まれ、その結果PRG /4Wall/Main Light/ Worldstage 等のプロダクション会社(レンタル会社がメイン)から広告宣伝費が出たのだろうと推測しています。 

   

本来はメーカーの新商品発表のために行われていた展示会ですが、プロダクション会社の提供するサービスを宣伝していく展示会に変わるのでは?という兆候と感じる展示会でもありました。ハードからソフトへの業界の移行です。

   

展示会初日

例年通りの11AM スタート。2時間で全てのフロアを一通り見て歩き、その後2 時間で気になったメーカーに話を聞きにいきました。合計4時間で見て回れる、ボリューム的には小規模な展示会でした。コロナ前に比べると半分を下回る規模だったと思います。

   

コロナ前のLDI は、まずフロアを一通り見て歩くだけで1.5 日。気になるメーカーをリストアップして残りの1.5 日に詰め込み、各メーカー話半分で切り上げてやっと回りきれる、そんな規模でした。

   

小さい規模が「悪い」というわけではなく、実は良い点もありました。例年は勉強やネットワークのためにスタッフを連れてくる会社が多いのですが、今回は代表や社長のみという来場者が多かったように見受けられました。

   

出展メーカーにとっては、購入決定権のある来場者と話せたのは大きな利点です。また、来場者にとっても、人が少ない分、メーカーからじっくり話を聞かせてもらえるという利点があります。これは大きかったと思います。

メーカー紹介 アルファベット順

コロナが原因で今回は出展できなかったメーカーの新商品やサービスも国内代理店に寄稿していただいたので、紹介します。コロナの影響でダメージを受けているのは現場の方々だけでなく、メーカーや代理店・販売店も同じことです。

できるだけ多くの情報を読者に提供するべきだと思いまして、声を掛けさせていただきました。

   

多くの代理店さんがデモ機をご用意されていますので、ご興味のある方はこの記事を読んだと直接連絡をしていただき、業界の活性化に繋がれば幸いです。

ACT Lighting

MA、 Ayrton、 MDG、ロバジュリを統括する米国の巨大代理店、ACT Lighting のブースです。

大型ツアーでのイベントによく使われる製品を取り扱っているので、コロナ禍ではものすごく苦労されたと思います。

北米に合計3 つのセールスオフィスを構え、MA 販売サポートを中心にコロナ禍においても業界に大きく貢献し続けています。 ブースのスタイルはコロナ前と同じ雰囲気で、MA を中心に据え、周りにアイルトン、MDG、ロバジュリ等の有名ブランドで囲わせるという良い設計です。

   

Arri

ブース動画を撮っておけば良かったと悔やんでいます。

LDI のARRI のブース、Skypanel のカラーチェース演出がすごく可愛かったのです。

ただ一番推しているのは、エリスポ・フラッド・ソフトライトも全ての機能を兼ね揃えているOrbiter。スカイパネルの類似品は数多く出ておりますが、今後の撮影業界で流行らせていくのはOrbiter のようなライトなのでしょうか?ちょっと多機能すぎ? 

「すごく素敵なブースだね」とスタッフさんに伝えたら「あら、ありがとう!実は今年出展するかどうか最後まで悩んだのよ」とのこと。どのメーカーも今年は苦しそうだけど、続けてブースを出すということはメーカーにとって意味のあることだと思います。

   

Astera

国内でもだいぶんお目にかかるよう になりましたチューブ型LEDで有名 なアステラです。

アステラのスタッフさんからの情報 で、今後製造されるAstera Titanと HeliosチューブにはBTB(Bluetooth Bridge) テクノロジーが搭載される とのこと。

ライトにbluetoothチップを入れる ことにより、スマホ・タブレットから送信機のArt7を介さずに制御できるということです。簡易的な現場には最適な方法です。 気をつけないといけないことは、Art7より距離が全然飛びませんし、bluetoothですので落ちることもあります。  小さいキューブ型の Pixel Brick や電球型の NYXも展示してあり、新商品のオンパレードでした。

   

Avolites

<ヒビノライティング 安達さんからの寄稿>

寄稿文はこちらをご覧ください。

   

AYRTON

< PRG 株式会社 内藤さんからの寄稿>

寄稿文はこちらをご覧ください。

   

CHAUVET Professional

<ヒビノライティング 安達さんからの寄稿>

寄稿文はこちらをご覧ください。

   

City Theatrical

City Theatrical Morreale氏からの寄稿

City Theatrical は20年以上エンターテインメントと建築照明に先駆的なワイヤレスDMX とRDM の革新をもたらしてきました。

CityTheatrical のMultiverse ワイヤレスDMX / RDM システムは、他社の無線DMX 送信機から発信される1ユニバース分の電波エネルギー・ノイズより、少ない電波量で10 ユニバースものデータをブロードキャストできます。 マルチバースワイヤレスDMX / RDM ソリューションは、会場内の他のワイヤレスシステムとの干渉のおそれのある有害な量の電波エネルギーを最小限に抑え、ワイヤレスDMX システムのスケールアップを可能にします。これにより、照明の専門家の照明システムに対するアプローチ全体を変えることができます。

誰にでも使える簡易的なMultiverse SHoW Baby や、プロ仕様のMultiverse Node。LED テープライトなどを簡単にワイヤレス調光できるDMX 無線受信機能のついた超小型ユニット。テレビ・映画、MV 撮影現場でも重宝されるall in one box の無線DMX キットなど、CityTheatrical のMultiverse ワイヤレスDMX / RDM システムファミリーはさらなる革命を起こしていきます。

   

Clay Paky

<Tecnical Supply Japan 松本さんからの寄稿>

寄稿文はこちらをご覧ください。

Claypaky社セールス・ディレクターAlberico D'Amato氏のコメント:

「約2年ぶりに国際的な展示会に戻ってくることができて、大変嬉しかったです。私たちの業界はまだ完全には回復しておらず、LDI の出展者数や来場者数は以前よりも少なかったのですが、この場にいること自体が我々全員にとって大きな意味を持ちます。また米国内では楽観的な見方が多いように感じました。今年はパンデミック規制のある最後の冬になると感じており、春にはすべての業界がほぼ通常状態に戻り積極的に多くのイベントが開催されるでしょう。しかしながら、今後はショーやイベントの中止よりもこれらのイベントを開催する会場の確保、加えてパンデミックで業界を去ってしまった人材不足を懸念しています」

   

CLUBCANNON

クラブキャノン。CO2ベースのエフェクト機材を製造するメーカーです。クラブという名前だからクラブ専用の機材じゃないのかな?と思わせますが、大型コンサート、スポーツイベント(NFL 等)、撮影現場にも登場する、いろいろな現場に使われているメーカーです。置きだけでなく、手持ちのCO2キャノンもあり。一風変わった演出を求めている方には必見のメーカーです。

   

Cozy Roadie

ブースはないけど、プロダクトスポンサー(製品をLDI 会場に提供)として出展しているメーカーも見かけました。数年前にデビューした、Cozy Roadieツアー用折り畳み椅子もその1つです。座り心地も最高の高級感のある椅子です。スタッフさんだけでなく、スターパフォーマーや現場に常駐するプロデューサーさんに出してあげるだけで、すごく喜んでもらえるかもしれません。椅子がケースの中に収納できるので、トランポも場所を取らないうえ、パイプ椅子で腰痛問題に苦しめられているいつまでも若くないオペレーターさんには必須アイテムです。

   

Creamsource

<富士ライト商事 杉浦さんからの寄稿>

寄稿文はこちらをご覧ください。

   

Cueaudio.com

毎年LDI に来ているので、新しいメーカーとか出てきたらすぐにわかっちゃうよ!という感じで、今年も発見。ファンエンゲージメント(ファンと一体になる的)な機材やシステムをコロナ前の展示会でもよく見かけましたが、本製品・サービスは誰でも持っているスマホをベースにしたものです。

ストロボやエフェクトライトをインストールしたアプリを通して、スマホの画面や裏面フラッシュをWIFI で操作。WIFI 送信機とDMX 卓をリンクさせて調光卓からも操作可能とのこと。

   

Doug Fleenor Design

米国のDMX 管理機材老舗Doug Fleenor Design ダグ・フリーナからの新商品です。

10シーン壁コントローラー。今までは、1universe 対応のみでしたが、4Universeものも出現!

LED ライト等を常設に入れるときすごく便利になると思います。そのほかにも、性能の悪いDMX 内蔵チップを使っているメーカー機材で暴走するときに、コントローラーとの間に噛ませると便利なデータスピードの変換機や、Artnet/sACN > 16 DMX universe に変換するDIN レールはめ込み型のノードなど、どれも「あー、あったらいいよー」の便利グッズを取り扱うメーカーです。

   

DTS

<ウシオライティング㈱さんからの寄稿>

寄稿文はこちらをご覧ください。

   

EL Environmental Lights

テープライトをメインにしている米国メーカーのEL Light 社。格安オンラインサイトで購入するより、保証があり、性能性も高いため、ブロードウェイでの美術セットへの埋め込み等でよく使われているLEDテープです。ライトボックスに適応しているLED パネルライトは、実際にみてみた感じですと、剥き出しLED チップ仕様より、ものすごくあかりがフラットで綺麗。つぶつぶなんてもう見えません。

   

ETC(イーティーシー)

<株式会社剣プロダクションさんからの寄稿>

寄稿文はこちらをご覧ください。

   

2021 LDIレポート in Las Vegas(前編)